園生活についてご質問にお答えします

めばえ幼稚園 園長 井上 ミドリ

みなさまから入園後の園生活について、いろいろなご質問がありますので、一問一答の形でお答えします。

問1=めばえ幼稚園の教育の特徴は?

問2=3才児ですが、まだ自分で上手に排泄ができません。こんなことで、入園できるでしょうか?

問3=ひとりっ子で、友達と遊んだことがあまりないのですが、園でうまく生活できるでしょうか?

問4=自分の気に入らないことがあると、すぐに手が出て人を叩いたり、乱暴したりします。どうしたら良いでしょうか?

問5=ときどき「きーっ」というような奇声を発することがありますが、どうしたらよいでしょうか?

問6=外に出て遊ぶのがきらいで、いつも家の中で静かに絵本を読んだりとか積み木をしたり、テレビを見たりしています.こんな調子で幼稚園に行って大丈夫でしょうか?

問7=うちの子はどうも無気力で困ります。どうしたらいいでしょうか?

問8=下の子をいじめて困ります。どうしたらいいでしょうか?

問9=友達に自分のものを貸して一緒に遊ぶことができません。こんなことで園にいけるでしょうか?

問10=うちの子は人の言うことを聞きません。とても強情なところがあります.こんな風で幼稚園に入って皆と一緒にやっていけるでしょうか?

問11=うちの子は、外で遊んでばかりいます。少しは落ち着いて家の中で絵本でも読んでくれる子になってほしいのですが。

問12=園生活では積極的な子は伸びるが、消極的な子は置き去りにされてしまうと聞きましたが、そうなのでしょうか?

問13=うちの子は友達の遊びになかなか素直に入っていけません。どうしたらもっと積極性のある子にしていくことが出来るでしょうか?

問14=自分の欲しいものや自分の要求が通らないと、物を投げたり、泣いて要求を通そうとします。どうしたら良いでしょうか?

問15=家ではよくお話をするのですが、よその人などとはぜんぜん話をしないのです。園にいってもうまく生活できるでしょうか?

問16=うちの子はとてもスローテンポで因っています。このままでは園生活は難しいのではないでしょうか?

問17=この頃急にとても甘えるようになって、母親にべたべたとくっついてきていやらしい程です。どうしたのでしょうか?

問18=めばえ幼稚園はとても庭が広くて、先生達の目が届かず、子どもがよくけがをすると聞いています。それがとても心配です。

問19=めばえ幼稚園は自由でとてもよいとは思いますが、小学校へ行ってから、自分勝手で先生の言うことを聞かない子になってしまうのではないかと心配です。

問20=めばえでは、文字や数の指導をなぜしないのですか?

問21=めばえでは給食がありませんが、始める予定はありませんか?

問22=めばえでは、子どもが泣いていてもそのまま放っておくことが多いと聞きました。なぜですか?

問23=めばえでは、あまり通知文を出さないで子どもに口伝えで知らせると聞いています。なぜですか?

問24=めばえでは、ガラクタ工作が盛んですが、どんな意味があるのですか?

問25=幼稚園が始まって園バスに乗るのを嫌がったり、また、帰りのとき、園バスに乗り遅れたりしたらどうすればいいのですか?

問26=めばえ幼稚園では、とてもどろんこ遊びが盛んですが, あんなにどろだらけになって汚したりすることに、どんな意味があるのですか?

問27=めばえ幼稚園では、子どもを集めて、一緒に何かをやる、というようなことをしないのですか?

問28=めばえ幼稚園の保育は自由保育なのですか?

問29=入園にあたって、いちばん大切なことは何でしょうか?

 

問1=めばえ幼稚園の教育の特徴は?

1.こころとからだの健康を第一にします。人間の成長と発達にとって、なによりも大切なことは、心身の健康です。 とかく、体の健康には目を向けるのですが、こころの健康については、見過ごしがちです。 私たちは、子どものこころとからだの健康な育ちを大切にします。のびのびと、思う存分に自分の体を動かし、夢中になって遊ぶ毎日の生活を通して、子どもたちは自分にたいする自信や生活に対する意欲をつかんでいきます。 2.子どもの自主性を大切にします。 なんでもおとなの指示どおりに動いたり、命令や指図がないと自分からはなにもしない、というようなロボット的な子どもでは困ります。  また、先生や大人の喜びそうなことばかり言ったり、したりしている子どもも困ります。 自分のしたい遊びや活動を、自分から「選び」「決めて」いけるような、自主的・主体的な生活のできる子どもになってもらいたい、というのが私たちの願いであります。  子どもが「…をしたい」「…をやろう」と言って、自分から進んで取りくんでいけるような、楽しさや喜びがいっぱいある園生活を、子どものために、また子どもと共につくりだしていくのが「めばえ幼稚園の教育」です。したがって、私たちは文字や数、○○のけいこなどの「おしえこみ」や一方的な「押しつけ」の指導をいたしません。

 

問2=3才児ですが、まだ自分で上手に排泄ができません。こんなことで、入園できるでしょうか?

答=まだ4月の入園まではだいぶ日数があります。春になると衣服も軽くなって着脱がしやすくなります。 焦らずに、ゆったりとしつけていきましょう。3月ごろには大丈夫、自分でちゃんとやれるようになるものです。

 

問3=ひとりっ子で、友達と遊んだことがあまりないのですが、園でうまく生活できるでしょうか?

答=入園したばかりの時期は、どの子も不安で、泣いたり、いやがったりするものです。でも、すぐに園に慣れていきます。お母さんがあまり神経質になられると、かえってよくありません。

 

問4=自分の気に入らないことがあると、すぐに手が出て人を叩いたり、乱暴したりします。どうしたら良いでしょうか?

答=お子さんのまわりにすぐに手がでる人はいませんか? 父母又は家族のなかにそんな人がいると、子どもは真似るものです。また、子どもの言うことをじっくり聞いてあげようとする親のおちついた構えが大切です。静かに子どもの相手をしてあげようとする親の育児態度がないと、子どもはおちつきのない粗暴な性格になってしまいがちです。大人の生活態度や育児に対する心構えを見直してみましょう。

 

問5=ときどき「きーっ」というような奇声を発することがありますが、どうしたらよいでしょうか?答=子どもは心になにか訴えたいことや大人に知ってもらいたいことがあるとき、普通は言葉によって語しかけるものです。 そんな時、落ちついて静かに相手になってあげてください。まともに相手にされないと、子どもは心の不満を奇声という形で発散させ、周囲の注意を引こうとするものです。

 

問6=外に出て遊ぶのがきらいで、いつも家の中で静かに絵本を読んだりとか積み木をしたり、テレビを見たりしています。こんな調子で幼稚園に行って大丈夫でしょうか?

答=子供には一人ひとり個性があり、活動的な子、静かなことの好きな子など、いろいろなタイプがあります。 でも幼児の場合、戸外で遊ぶのが好きな方がより子供らしいのではないでしょうか?お母さん自身がもっと子供を外に連れ出して、自然のなかで遊ぶことのすぱらしさを身をもって知らせてあげるようにしましょう。

 

問7=うちの子はどうも無気力で困ります。どうしたらいいでしょうか?

答=子どもは本来好奇心が旺盛で、やたらと質問したり、危険なところへもぐり込んだりして大人を困らせるものです。 反対になにに対してもあまり積極的な関心を示さない子の場合、子ども本来の生き生きとした心のうごきが鈍くなっているのだと思います。お母さんは、子どもの心がゆり動かされるような働きかけを、どんどんしていくことが大切です。絵本を読んであげたり、お語をしてあげたり、一緒になにか運動(幅跳び・ボール遊び・散歩など)をしてあげて、体を動かしたり、元気な声をだす機会を多くしましょう。

 

問8=下の子をいじめて困ります。どうしたらいいでしょうか?

答=まだ自分が兄(姉)であるという意識は、そんなに強くないのです。お母さんに甘えたいのに、「お兄さんでしょ、しっかりしなきゃだめよ。」などと言われても無理なのです。もっと甘えさせてください。ときどきぎゅっと抱きしめてあげてください。そのうちごく自然に、いじめなくなります。

 

問9=友達に自分のものを貸して一緒に遊ぶことができません。こんなことで園にいけるでしょうか?

答=子どもが自分のものを大切にするのは当然です。そのうちに自分一人で独占して遊んでいるよりも、友達と一緒に使って遊んだ方がたのしい、ということが分かってくる時期がくるものです。

 

問10=うちの子は人の言うことを聞きません。とても強情なところがあります。こんな風で幼稚園に入って皆と一緒にやっていけるでしょうか?

答=子どもが言うことを聞かないのには、それなりに原因があると思われます。 一寸の虫にも五分の魂、ということわざがあるように、子どもにもいい分があります。一方的に親の思い通りに言うことを聞かせようとしても無理で、子どもの言い分にも耳を傾けるゆとりが大切です。ゆったりとした気持ちで話しかけ、おちついた雰囲気の中で、心の通いあう親子のつながりを大切にしましょう。

 

問11=うちの子は、外で遊んでばかりいます。少しは落ち着いて家の中で絵本でも読んでくれる子になってほしいのですが。

答=いいじゃありませんか。心配することはありません。 活動的な子は心も体も活力に満ちているものです。いずれそのうちに別のことに興味をもつようになり、どんどんいろいろなことに挑戦していくようになっていくはずです。やりたいことを精一杯やれるように、暖かく見守ってあげましょう。

 

問12=園生活では積極的な子は伸びるが、消極的な子は置き去りにされてしまうと聞きましたが、そうなのでしょうか?

答=そんなことは絶体にありません。長い目で子どもの成長を見つめる、たしかな目をもちましょう。積極的な子は、確かに園生活に慣れるのも早いし、友達をつくるのも上手です。元気に遊びだすのも他の子より早いはずです。しかし、消極的な子であっても、いつまでもそうだというわけではなく、必ず自分のやりたい遊びを見つけて、元気に遊びだすものです。 また、自分の気に入った伸間を見つけて、一緒にいろいろなことをやり出すものなのです。大切なことはあなたは愚図だとかのろまだとか、子どもの心を傷つけるようなことを一切口にしないことです。特に、兄弟とか近所の友達などと比較して子どもをけなすのは、一番いけないことです。消極的という性格は、親からの遺伝を受け継いだものかも知れません。しかし、見方をかえれば「奥ゆかしい」という美徳でもあります。そのすばらしい美徳の上に集団生活を通して養なわれる、たくましさや根気づよさ、という心の力をしっかりとくわえてあげたいものです。

 

問13=うちの子は友達の遊びになかなか素直に入っていけません。どうしたらもっと積極性のある子にしていくことが出来るでしょうか?

答=最近の子どもは友達遊びの経験がすくないので、いろんな友達に出会い、さまざまなことを経験しながら成長していくのです。積極性というのは、ただがむしゃらに突っ走ることではありません。自分の心に決めたことを最後までやり抜いていく、粘り強い根気や、困難に負けないで目的に向かって努力していく気力や意欲をもつことです。めばえ幼稚園の子どもたちは、実に良く頑張る子どもに育って行きます。自分の心に決めたことに向かって目的意識をもち、さまざまな手だてを考えながら、ものすごい集中力を発揮していく子どもに育っていくのです。大事なことは、まわりの大人達が子ども一人ひとりのもっている、その子だけに与えられている豊かな可能性を信じてじっくりと待ってあげる「ゆとり」をもつことです。

 

問14=自分の欲しいものや自分の要求が通らないと、物を投げたり、泣いて要求を通そうとします。どうしたら良いでしょうか?

答=親の原則を貫いていく「がんとした態度」が全てです。 泣いても駄目なものは駄目、ということを分からせると子どもは泣かなくなるものです。特に物を投げるなどということは、断固として許してはいけません。腕をねじあげて子どもの自由な動きを押えこんでも許さない親の態度が大切です。

 

問15=家ではよくお話をするのですが、よその人などとはぜんぜん話をしないのです。園にいってもうまく生活できるでしょうか?

答=全く心配ないとは言えません。子どもが知らない人と話しをしないのは、そんなに心配しなくていいのですが、よその人、特に幼稚園の先生とか仲間などとも、話しができないというような場合には、ちょっと気になります。子どもの心になにか引っかかっているものが、あるのではないでしょうか。それを取り除いてやる必要があります。それにはまず家族が何でも話し合える雰囲気をつくることです。それに近所の人と家族とが、気楽に語し合う場面に、子どもも一緒にいるようにしましょう。 大人を始め、よその子ども達とも、皆おなじように語し合うことによって、コミュニケーションができることを、親が身をもって示してあげましょう。自分の身の回りにいる人達は、皆安心して話せる人達なんだということ、そんなに緊張しなくてもいいんだということを、ごく自然にわからせてあげましよう。

 

問16=うちの子はとてもスローテンポで因っています。このままでは園生活は難しいのではないでしょうか?

答=大人が手をだし、口をだしているうちは、子どもはなかなか自分でやろうという気にならないものです。思い切って、手をだすのを止めてください。時間がかかっても自分でやれるまで「待って」あげてください。上のボタンだけかけてあげたら、次は子どもがやれるまで、じっと見ていてください。子どもがやろうとしたら、余計な口をださずに見ているのです。できたらほめて自信をつけてあげてください。

 

問17=この頃急にとても甘えるようになって、母親にべたべたとくっついてきていやらしい程です。どうしたのでしょうか?

答=下にお子さんが産まれると、お母さんの愛情が全部その子にいってしまったような気がして、上の子はとても不安定になるものです。下の子が寝てしまったときなど、充分にかわいがってあげてください。膝の上に座らせてお話しや絵本を読んであげたり、好きな遊びの相手をしてあげるなどして、お母さんに愛されている、という安定した気持ちがもてるようにしてあげましょう。

 

問18=めばえ幼稚園はとても庭が広くて、先生達の目が届かず、子どもがよくけがをすると聞いています。それがとても心配です。

答=たしかに、めばえ幼稚園は庭が広く、子どもたちはとても元気に遊んでいます。しかし、子どもが元気に遊び、少々の怪我をするのは当り前のことではないでしょうか? 小さいけがを経験することによって、実は重大な怪我から身をまもる力が身についていくのです。自分の体を自由に支配し、充分に使いこなすことのできる子どもに、なってもらいたいという願いから、私たちは子どもが思う存分に広い庭で遊び回る生活を大事にしています。子どもは自分だけが知っているところとか、秘密の場所とかが大好きです。子どもはそうした自分一人だけの独自の世界を持ちたがっているのです。子どもに、誰にも干渉されないで、一人だけで遊びの世界に没頭し、ひたりきれる時間や空間を与えていくことが、子どもの心の育ちや個性、人格の発達に非常に大きな意味を持つのです。四六時中まわりの大人違に見張られ、監視され、口や手をだされてがんじがらめにされ、自分の口も手も、もがれているような状態で子どもが育てられるとしたら、それはとても不幸なことです。 めばえでは、子どもの自由な遊び活動をとても大切にして、遊びを通してさまざまな子どもの力を引きだしていく教育を行っております。 幼稚園は子どもが主人公であり、中心であります。そのことを基準として、私たちは子どもを大事にし、安全へのあらゆる配意をした上で、なお起こりうる怪我については、やむを得ないことと考えております。 このような、めばえ幼稚園の教育方針にご賛同下さる方は、お子さんを入園させてくださるようにお願いします。

問19=めばえ幼稚園は自由でとてもよいとは思いますが、小学校へ行ってから、自分勝手で先生の言うことを聞かない子になってしまうのではないかと心配です。

答=自由とは言っても、何もかも勝手気ままでやり放題の放任や放縦というのとは全く違います。自由には責任が伴います。自分のわがままや勝手が通らないのが集団生活です。幼稚園では子どもたちが仲間と一緒にいろいろなことに取り組んでいくなかで、我慢したり、人に譲ったり、人の言うことを受け入れたりして、協力していくこと、自分のわがままをおさえて人と一緒にやっていくこと等を学んでいきます。 また、一定の時間物事に集中して取り組んでいく根気づよさとか、集団のきまりや約束事をきちんと守る態度なども、しっかり身につけていきます。ですから小学校へ行っても決して学習活動に参加していくのに、問題はないはずです。ただひとつ、ちょっと気になるのは、めばえの子は何でも皆でよく話し合って、自分なりに納得して行動を起こすという習慣が身についているので、一方的に押しつけられて無理やりに何かをやらされる、とか話合いなど何もなくていきなり命令されたりすると、当然反発するはずです。そういう傾向が見えたら、直ちに担任の先生と良く話し合ってくださるようにおすすめします。 若くて経験の浅い教師ですと、教科の指導に熱心のあまり子ども一人ひとりの傾向性や、個性に応じたクラスづくりまで気がまわらなかったりします。そんな時に、子どもの心の問題を話し合うことによって、教師ももう一歩前進し育つことができるのです。 数年前、一年生になったばかりで、登校拒否を起こした子がいました。おかあさんが話しを聞いたところ、その子はいつも先生の言うことを真剣に聞いて、よく守ろうとしていたのです。例えば、グループで粘土を使って大きな動物を作ろう、と先生が課題を与え、ちょっと用事があるので職員室に行ってくるからその間やっててねと言って、先生がいなくなった途端、他の子どもたちは皆それぞれ勝手に、自分の欲しいだけの粘土の取りっこを始めてしまうのです。 その子が皆で相談をして、作りたいものを決めてから大きなものを作るんだ、ということを仲間に話しても、全然通じないのです。そんな生活が毎日続いたために、ついに登校拒否が起こったのです。お母さんは早速担任と語し合いました。若い先生はすぐそのことに気がついて、それなりの指導をするようになり登校拒否は終りました。親が気楽に教師と話すことが大切です。

問20=めばえでは、文字や数の指導をなぜしないのですか?

答=しない訳ではありません。私たちは子どもの遊びを通して具体的な場面での文字や数の指導を大切にしています。 また、文字や言葉への興味や関心を育てていくことを、とても大事なことと思っています。ただし、一斉指導の形で文字を教えたり、数のおけいこをしたり、というようなことはしません。私たちが大切にしているのは、子どもの言葉体験や数体験そのものなのです。 単に文字がかけるとか、数を唱えることができるとかいうことは、子どもの本当の知能や認識の力とは、何の関係もないことなのです、それよりも、子どもたちが自分の言葉を使って、仲間や教師と話し合い、言葉を通して共通のイメージやめあてを持ち、みんなで協力して豊かな遊びの世界や、しごとの生活を作りだしたりすることを通して、身についていく本当の力や、言葉についての基本的な感覚とか、数・量についての認識の基本になる原体験を大切にしていきたいのです。 また、幼児の時代には、たくさんのすぐれた文学作品に触れ、お話しや童話を通して想像力や夢を育てていくことも大切です。見せかけの知力や学力ではなく、私たちは子どもの本当の力、生きる力を育てたいのです。

 

問21=めばえでは給食がありませんが、始める予定はありませんか?

答=まったくありません。お母さんの手作りのお弁当をもたせて頂きます。家庭でのおふくろの味がなくなりつつあると言われている現代の風潮の中で、幼児期の数年間、おひるの度に母親の愛情を豊かに感じるような、楽しいお弁当の時間を経験させて頂きたいと思っています。

 

問22=めばえでは、子どもが泣いていてもそのまま放っておくことが多いと聞きました。なぜですか?

答=子どもが泣くという時、いくつもの原因があります。甘えて泣く、怒って泣く、わがままが通らずくやしがって泣く、けんかして泣く、どこかけがをして痛くて泣く等いろいろあります。 私達がもっとも深い注意をはらっているのは、最後の場合の子どもが怪我をして泣いているときです。怪我が大きければ大きい程、子どもの泣き声は反対に小さくなるものです。ですから子どもが泣いている時、どんな小さな泣き声でも、私違は非常に注意深くその原因を確かめます。そして、甘えだったり、わがままだったりする場合、しばらくそのままにしておくこともあります。 泣いてもわがままは通らない、泣いているだけでは事柄は解決しない、ということを分からせる必要がある時です。また、時には子どもに泣きたいだけ泣かせてあげることも大事にしています。最近の子どもの中には、すすり泣きや忍び泣きしかできない無気力な子が増えています。これは大変なことなのです。子どもが自分を主張して泣くとき、精一杯に大声をはりあげ、身体じゅうで泣いて欲しいのです。しくしくめそめそと、しめっぽく泣きながら、誰かに慰められるのを待っているような、ひ弱な子どもから、力一杯自己主張して泣きわめくことのできる、子どもらしい子どもになってもらいたいのです。そのためには、泣き方のけじめをきちんとつけられる子どもにしていきたいのです。そのためにも、お母さんたちが何でも先取りし、先読みして手だし口だしするような子育てから手を引いて、子どもにやらせ、子どもに語らせることを大事にして頂きたいのです。 過ぎた「思いやり」や「いたわり」は、子どもをダメにしてしまうことを肝に銘じて頂きたいのです。

 

問23=めばえでは、あまり通知文を出さないで子どもに口伝えで知らせると聞いています。なぜですか?

答=私たちは子どもの力を信じます。また、子どもがどの程度教師の話しに集中して聞いているか、子どもの反応や意識が手にとるように分かるわけです。私たちは子どもの耳に伝え、心に語りかけながら、子ども自身が、自分の力で必要なことを、親に伝えていくことができるようになってもらいたいと思っています。 ですから、めばえの保育計画は子どもたちのペースに合わせて、実にゆっくりと時間や日にちをとって組まれています。 一日目に教師の伝えた通りのものを持ってくる子もいますし、二日目、三日目或はもっと遅くなる子もいます。それでもまったくさしつかえありません。例えば、一日目に持ってきた子が何か作品を作ります。するとそれを見ていた子が自分も作りたくなり、翌日持ってくる、といった調子なのです。 大事なことは、子どもが自分から「つくりたい」「やってみたい」という、自分自身の目的意識をしっかりと持って、そのことに向かって、自分で自分の行動を自主的に起こしていくことなのです。自分の生活の中身を自分自身で選び、決定していくような、生活の主体者としての子どもを育てたいのです。

 

問24=めばえでは、ガラクタ工作が盛んですが、どんな意味があるのですか?

答=ガラクタは子どもが自由にこわしたり、組み合わせたりしながら、自分の思うとおりにいろいろなものを作っていくことが出来ます。実に沢山のガラクタが家庭から園に寄せられ子どもの制作意欲を盛り上げていますので、よろしく。

 

問25=幼稚園が始まって園バスに乗るのを嫌がったり、また、帰りのとき、園バスに乗り遅れたりしたらどうすればいいのですか?

答=子どもは、自分の家から幼稚園までの距離感をつかめないために、最初とても不安を感じて、時にはパニックを起こします。 一番良い方法としては、入園前に何回か、お家の人と一緒に歩くか、自転車に乗るかして、ゆっくりと時間をかけて、家から幼稚園まできてみることです。そして子どもが自分の家から幼稚園までの道のりや、その間の景色や町の様子の移り変り等に慣れることです。 もう一つ、どうしても子どもが園バスに乗るのを嫌がる時は、無理に乗せようとするよりも、お母さんが後からお子さんと一緒に、ゆっくり時間をかけて、幼稚園にお連れになって下さい。お母さんに「愛されている」という実感を持つと子どもはじきに安心して、泣いたりしなくなるものです。 また、ご質問のように、よく園バスに乗りおくれる子がいますが、その主な理由の一つには、お母さんに園までお迎えに来てもらいたいという、子どもの心のなかにある、無意識の思いや願いのあらわれなのです。 母親の愛情を求め、確かめようとしている、子どもの「ラブ・コール」なのだ、とお考え頂きたいのです。 また、時にはやっと遊びができるようになり、楽しくて楽しくてたまらない、という子どももいます。夢中で遊んでいて、園庭の奥のほうまで行ってしまい、先生方が探しても見つからなかったり、隠れていて出てこなかったりして、わざとバスに乗り遅れることもあります。そんな時、決して子どもを叱ったり、非難したり、面倒くさがったりしないで、子どもと一緒に帰ることを心から喜べる親になってください。 子育てというのは、ほんとうに手間のかかる営みなのです。幼稚園に入ったからといって、手間がはぶける等とお考えならないでください。そういう親の気持ちはストレートに子どもに伝わり、子どもの心を不安定にし、かえって手間のかかる子どもにしてしまうものです。

 

問26=めばえ幼稚園では、とてもどろんこ遊びが盛んですが、あんなにどろだらけになって汚したりすることに、どんな意味があるのですか?

答=最近、どろんこになることを、とてもいやがる子どもや、「汚したらお母さんに叱られるからやらない」、「どろや砂は気持ちがわるい」という子どもが増えています。しかし、子どもは本来どろんこ遊びがたいへん好きなのです。子どもはどろや砂をいじりながら、自分の手や目を使っていろいろな形を作ってみたり、その質感を確かめたりしながら感覚をみがいているのです。 筋肉だんごづくりの名人が現われて皆に教えたり、夢中になってどろや砂と取り組んでいます。どろ遊びだけでなく、子どもたちは自然の草むらや林のなかには入いり込んで、虫探しや木の実、草の実集め等に夢中になります。 そうした様々な遊びを通して、子どもたちは豊かな五感の発達=見る、かぐ、さわる、聞く、味わう等=を獲得していくと共に、五感を超えた直感や直観の力、言葉に表現できない世界を感じ取る感性の力を獲得していくのです。 小学校の先生方から聞いた話ですが、この頃の子どもたちは、生(ナマ)の体験が乏しいため、「もぎとる、ちぎる」とか「つむ、つみとる」、「水にひたす、水をふくませる」などという日本語の微妙な表現が理解できないので、国語の授業を進めるのに大変困っているということです また、人の語を「聞く」、特に「肝心な話を聞く」とか、「正しく聞く」ことのできない、集中力のよわい子どもが増えている、ともいわれます。 ここぞという時に、物事に熱中したり、その場にふさわしい、必要な態度を自分で選ぶ、という基本的な態度や構えが幼児期の生活を通して、しっかりと形成されていないのです。 私たちは幼児期の生活体験の豊かさを大切にします。特に子どもが夢中になって集中し、没頭していけるような、楽しい遊びの生活を通しての実体験的学習を大切にします。子どもはそのような遊びのなかから、自分で自分のやりたいこと、やれることを選んだり、決めていく力をつかんでいくのです。自分の生活を自分の力で「つかみとり」「切り開いていく」、その大切な第一歩が子どもの遊びなのです。 小学校の新しい学習要領では、生活科という総合的な科目が設けられるようになりましたが、幼稚園教育における遊びによる総合的な指導を小学校の低学年においても重視しようというものです。豊かな、充実した遊びは子どもの望ましい発達のために、欠かすことのできない大切な条件なのです。

 

問27=めばえ幼稚園では、子どもを集めて、一緒に何かをやる、というようなことをしないのですか?

答=おおいにやっています。園生活の一日の流れは、朝八時過ぎから登園が始まり、九時半頃には園バスの子どもたちも全員揃います。そして自由な遊び活動や、咋日からの続きのグループ活動(工作、ごっこ遊び、運動遊び等々、時間によっていろいろ)に取りくみます。遊びや活動が一段落ついたところで、クラスごとの、集会が行われますが、その時間はクラスで、また年齢で、それに時期によって違います。全員が揃った九時半に、その日の活動に必要な打ち合せをするクラス、十時頃や十一時過ぎに集まるクラスもあります。 子どもたちが必要とする時に集まり、みんなでその時どきの問題の解決を話しあったり、楽しい歌やリズム、絵本、お話し等の時間です。 その日の生活と活動を振り返って、どんなことをしたかを報告しあい、どんな問題があるのかを話し合ったり、明日の生活と活動についての内容やめあて、必要なもの等について確認しあったりする時です。子どもたちは、明日はこんなことをする、そのためには何と何が必要か、そして誰が何をどうするか等を、そこで決めたり互いに確認したりして、家に帰ります。 年長組の場合、3学期の帰りの集会は、時には1時間以上もかかります。意見が対立したり、別れわかれになったり、どうしても譲れなかったりして、もめるのです。子どもたちにとって、園生活は自分の生活であり、そこでのひとつひとつの活動は、まさに自分のことです。ですから納得のいくまで、語し合い、意見をぶつけ合って自分たちの生活の内容を、自分たちで決めるのです。 それは、子供たちのすばらしい学習の場です。教師の一方的な指示や命令によって生活や行動の中身が決められ、一定のレールの上を走らされるのとは大違いです。 そのようにして7月のインディアンまつり、お店やさんごっこ、秋の運動会、クリスマス、卒園記念のお別れ会での劇場、レストラン、お化け屋敷ごっこ、世界に一冊しかない絵本づくり等々の活動が、毎年その年の子どもたちの創意によって生みだされ、つくりだされていき、そのプロセスで子どもたちは実に豊かな学習をし、力をつけていくのです。 子どもたちは、自分で決めたことに対して、実に熱心に、そして本当に忠実に、責任をもった行動をします。時間のたつのも忘れて集中し、夢中になって活動に取り組みます。 クラスのみんなが一つの思い、一つの心になってみんなで決めた目標にむかって、ものすごいエネルギーを発揮します。 子どもたちは、みんなで一緒に力を合わせ、協力して、めあてに向かって活動することの楽しさ、やりとげたときの充実感や喜びを、園生活の流れのなかで存分に体験していきます。 教師の役割は、めあてに向かう子どもたちの後から、行き詰まった時、方法が分らずに困っている時等に、必要なヒントや、精神的、技術的援助、そして豊かで多様な素材や教材を用意し、こどもたちを励まし支えていくことです。

 

問28=めばえ幼稚園の保育は自由保育なのですか?

答=教師が子どもたちの自由を大切にして、ひとりひとりに直接働きかける保育が、自由保育といわれていますが、めばえの保育は違います。 ひとりひとりを大切にするのはとても大事なことですが、それだけでは、子ども同志の相互関係や協力関係は育ちません。見た目には子どもによく働きかけているようにみえたり、子どもを大切にしているようであっても、じつは子どもの仲間関係や子どもの意志を無視し、ふみにじってしまうことになりかねないのです。 そのような「みせかけの自由保育」をわたしたちは否定します。また、よくある「管理保育」のように、子どもを十把ひとかげらの「束」としてみて、平均的な基準をあてはめていく画一的な保育もわたしたちは否定します。 子どもは教師の下うけではありません。いわれたことにただ従順に従うという従属的な関係のなかでは、子どもの自主性や主体性は育たないのです。 めばえの保育は、子どもの自由を最大限に大切にし、ひとりひとりの子どもの思いや願いによりそいながら、同時に教師と子ども、また子ども同士の深い交流関係を大切にし、仲間とともに力をあわせ、みんなで考えて、主体的、意識的に物ごとにとりくむという、集団として行動し生活する力を育てることを大切にする保育です。 めばえの保育は、子どもの「育つ力」を信じ、子ども自身の「いきる力」を基盤として、教師も子どもも「共に育つ」保育、ともに響きあいながら育つ「響育」をめざしています。

 

問29=入園にあたって、一番大切なことは何ですか?
答=ひとことで言えば、アイサツと食事のしつけです。「おはようございます。」「さようなら。」「ありがとうございます。」などという、日常のアイサツを家庭でしっかりしつけて下さい。 もうひとつ、食事のマナーをしっかり身につけるようにお願いいたします。食べ歩きや食事の途中で遊びだしたり、というような、集中力が身についていないお子さんが目立ちます。きちんと食事のマナーを守って、楽しく食事の出来る習慣を身につけさせてください。
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